牛に乗った人の香炉。
「十牛図」の中の一過程を表しています。
中国の禅宗では「真の自己」を牛になぞらえて、禅の修行と悟りの境地を「逃げ出した牛を連れ戻し飼い慣らす修行の過程」に例え、10段階に分けてその過程を分かり易く描いて説明します。それが「十牛図」と呼ばれるものなんだそうです。
【1】尋牛(じんぎゅう)
・・・牛を探す旅に出る
【2】見跡(けんじゃく)
・・・牛の足跡(手がかり)を見つける
【3】見牛(けんぎゅう)
・・・自分の中の心牛を見ることが可能になる(真の自己に気づいた体験)
【4】得牛(とくぎゅう)
・・・真の自己である牛をしっかり掴まえ、牛の正体が明瞭になる
【5】牧牛(ぼくご)
・・・牛の持つ野生や凡情などを修行を通して飼い慣らし自分のものにしていく
【6】騎牛帰家(きぎゅうきか)
・・・牛にのって笛で童歌を奏でながら家に帰る。牧牛の努力の結果、牛が漸く自分の云うことを聞くようになった段階。
【7】忘牛存人(ぼうぎゅうそんにん)
・・・本来の自己である牛を忘れる段階
【8】人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう)
・・・悟った自己を忘れ、悟りも忘れ、全てを忘れてしまった境地
【9】返本還源(へんぽんげんげん)
・・・主客一体の境地
【10】入てん垂手(にってんすいしゅ)
・・・頭の中が掃除されて、観念も何もかもが無くなった境地
というのが十牛図の大まかな内容なのですが、
こちらの香炉は、おそらく6段階目の「騎牛帰家(きぎゅうきか)」の様子ですね。
なんだか、調べ出すと物凄い情報量の話だったのですが、
この話を店頭でお客様に説明するかどうかをためらっております・・・。
こんなに長々と話して、何か変な感じの空気になったらどうしよう、という一抹の不安。
童子をどかすと牛の背中に香を入れるための穴が 。
童子の背中にも穴がありますので、そこから香りが立ちこめるのかな。
最後に、いかにも帰ってる風のショットでお別れです。
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